ただならぬ妄想と畑のニンジン(^^)

なんでもない合コンの一幕

 

「死にそうになったことあるか?」

 

という話になった。安い居酒屋での一幕だ。

 

ある男は過労で死にそうになったと言った。

 

別の男が最近終電を逃し10kmの道を歩いて帰り死にそうになったと言った。

 

なんということだ。

 

聞いていることはそうじゃないだろう。

 

上記の二人だが、実際に死にそうになったと言えるのであろうか。

 

「イヤマジで死にかけたわ〜」くらいのテンションである。

 

「死にそうになったことはあるか?」と質問した女はもっとディープな話を、もはや九死に一生レベルの話を欲しているのである。

 

この女は自殺未遂で死にかけた話をし、見事にこの席を凍らせてくれた。

ちなみにここは合コンの席である。3回だけ!普通!じゃねーよ。

付き合った人数の話じゃねーんだぞ。

 

男達の必死のフォローも虚しく、彼女の顔は曇ったままである。

おそらく空気を凍らせてしまった絶望か、私達男の人生経験の無さに不満なのかわからないが、解凍しきれてないマグロを食べてさらに顔を曇らせた。

マグロも凍る空気である。

 

私は何回か死にかけたが、今も奇跡的に生きているし、自殺未遂はしたことがない。

 

だが、なんとかフォローせねばと思いつつ、小学生の時にバイクに跳ねられた話をした。

 

私が小学五年の時である。

 

私たちは隠れ鬼をしていた。

 

鬼が決まり、皆が一斉に公園の外に散った。

 

私が公園から飛び出した瞬間、鬼が「あっ」といった。

 

 

私は宙に飛ばされた。

 

 

視界が斜め下に一気に流れていく。私は飛ばされているのだ。

 

 

そして一旦視界が停止し、今度はスローモーションで視界が斜め上に流れた。

 

 

ゆっくり、ゆっくりと落ちていくのである。

 

 

ゆっくり、ゆっくりと地面に近づいていく。

 

 

ゆっくり、ゆっくりと落ちていく。

 

 

 

地面に着くーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片膝立ちで着地した。何それくそかっこいい。

 

 

 

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↑マジでこんなん。

 

無傷である。

 

バイクのにいちゃんが駆け寄ってきて初めて私はバイクに跳ねられたのだと実感した。

 

痛みもなく、ただ浮遊していた。そして世界がゆっくり動くのを見た。

 

後ろから、

 

yassくんみっけ!」

 

と鬼にタッチされた。心配ゼロかよ。お前飛ばされるとこ見てたろ。ずるいだろ。

 

 

私はブチ切れ、片膝の状態から鬼をアッパーで殴った。昇竜拳。鬼は泣いた。

バイクのにいちゃん絶句。

 

家に帰ると母親に連絡が行っていたのか、泣いていた。

 

夕飯は赤飯が炊かれた。意図は読めなかった。

 

その3日後、私は再びバイクに跳ねられた。鬼が「あっ」と言った。

 

だが、今度はバイクを受け止めたのである。足で受け止め、無傷。

 

痛みはなかった。

 

弁慶のごとく立ち尽くす私と、青ざめた顔のバイクのおっちゃん。

 

そして後ろから、

 

yassくんみっけ!」

 

私はブチ切れ鬼を殴った。鬼が泣いた。おっちゃん絶句。

 

 

家に帰ると母親に連絡が行っていたのか、泣いていた。母親にしろ鬼にしろ実に涙の多い日常である。

 

夕飯は赤飯が炊かれた。これは生還の祝いなのかもはや。 

 

 

一回目で飛ばされ、二回目で受け止めた私は、

 

三回目はバイクを刎ね飛ばすのではないか。不死身の男である。

 

そんな話をしたら彼女が笑ってくれた。

 

場が和んだ。マグロも解凍された。

 

良かった。ナイスフォローだ。

 

彼女「あなたは不死身なのね、それなら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何回自殺未遂しても大丈夫だね!

 

 

私「そんでもってまた赤飯炊いたりしてなグヘヘ!!」

 

と下手くそなフォローで再び凍る場。

 

 

他の女「つか鬼の子って、弱いものから片付けると言うか、

そういう手順で仕事するタイプだと思うよ??」(は???だからなんだよ)

 

 

連絡先の交換が一切ない合コンでした。