ただならぬ妄想と畑のニンジン(^^)

呪い

甲子園を見ると、昔を思い出して少し胸が痛むような、そんな感じがするのだ。それは甘酸っぱいというよりもブルーで、何か後ろめたいような、罪悪感を感じるような、そんな気持ちだ。
一体全体この気持ちは何だろうとずっと考えていた。
別に野球に未練があるとかそんなことではないのだ。甲子園なんて夢のまた夢であった。
というか高校で野球部の入部説明会に行ったがウルフカットが禁止だったのでバンドを始めたくらいの信念の低さである。

私は中学生の時までは、野球をやっていたのだ。
しかもキャプテンであった。
顧問の先生も野球経験者というわけでもなかったためか、練習メニューは私が決める。あの時、キャプテンの言うことは絶対であった。当然後輩には球拾いばかりやらせたし、声出しばかりやらせた。
練習も効率などは考えず、精神論ばかりを重視したものであった。
そんな私の当時のメールアドレスは、
「stubborn-spirit@ezweb.ne.jp」
和訳は「不屈の精神、諦めない心」である。(合ってるかは知らん)
あと、余談であるが私は当時もウルフカットであった。

そんな私たちにも最後の夏が来た。

私は最後の権力行使として、
「俺もするから、大会本番までに全員坊主にしろ」
と命令を下した。

次の日から日に日に坊主が増えていく様を見つつ、何となく南無阿弥陀仏を一人一人浴びせて楽しんでいたところ、副キャプテンが私に言った。

「俺は彼女もいるし坊主なんて無理だ。でもyass君まで坊主にして俺だけウルフカットのままだったら部員に示しがつかない。
あと南無阿弥陀仏浴びせるの本当は罪悪感で辛い」

彼は私の右腕か左腕か局部だかなんだか知らないが、頼りにしてたし、まあなんつうかいい奴だし何なら彼女可愛いし野球上手いし(4番サード。私は8番ライト。)彼を信頼していた。
いまから命令を取り下げてもいいと思ったが、私と副キャプテン以外はすでに坊主頭であった。

キャプテンとして、部員からの信頼を取るか、副キャプテンとの友情を取るか。

 

 

 

 

 

 

 


私は副キャプテンとの友情を取った。てゆうかウルフカットかっこいいしね。Rookiesみたいやん?

大会当日、両チームが整列し帽子を取り一礼する。
その時の写真が坊主の中にウルフカットの私と副キャプテンという異様な光景となっている。強力助っ人感がハンパない。
相手を怖気付かせるには十分だったが、わずか一回でコールド負けした。0-10。

こうして私の野球人生は終わったのである。

大会後に部員からdisられ、卒業アルバムにまで書かれた。まるで二度と髪の毛が生えてこないかの如くであった。

 

 

そして今、改めて甲子園を見る。
やはり気持ちは変わらない。
未練ではないのだ。そう、部員に命令しておいて自分が坊主にしなかったことの罪悪感を思い出すのだ。それに違いないのである。

 

 

この間の法事でお坊さんを見た時に急に昔を思い出して少し胸が痛むような、それは甘酸っぱいというよりもブルーで、何か後ろめたいような、罪悪感を感じるような気持ちになったため多分間違いない。

野球とか関係ない。髪の毛の問題。剣道部とかでもよかった。つかもはや髪の毛ないスポーツならなんでもいい。
坊主頭だけで感情が爆発する。多分一生私につきまとう呪いである。